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「公的年金制度改正案」

わが国では、65歳以上の高齢者数は増加を続け、2000年には2204万人となり、全人口の17.4%に達しているが、その数は今後も増加し、2043年には3647万人、全人口の34.2%にも達すると試算される。

一方では、少子化が進み、合計特殊出生率は、人口の減少を来たさないために最低必要とされる2.08を大きく下回り、2000年には1.35にまで低下している。現在、生産年齢人口3.9人で1人のお年寄りを支えることになるが、2050年には1.5人にまで減少することが予想され、このような急速な少子高齢化の進展により、年金財政の悪化がけねんされている。

厚生労働省は、2004年の次期公的年金制度改正案をまとめた。この改正案によると、厚生年金の受給権を有する60歳代前半の者が、定年後も年金を受給せずに働きつづけ、年金の受給開始を65歳に遅らせた場合に、その後の毎年受給する年金額を増額する新方式を選択することができるようにする。年金は退職後の生活保障のために支給するものなので、かつては退職後にしか年金を受け取れなかったが、働くと年金が全く支給されないというのでは、高齢者の労働意欲が消失してしまうとの批判から、現在では在職老齢年金の制度が採用されている。60歳代前半の在職老齢年金は、在職中の年金額を一律にカットし、賃金と年金の合計収入が22万円を超えると、年金額が少しずつ減らされる逓減方式になっている。
しかし、この制度でも、たとえば、年金月額が10万円だと賃金が30万円になると年金は全額支給停止になることから、就業への抑止効果があるとの批判が出ていた。
そこで、現在の逓減方式のほかに新方式を採用することにより、年金受給権者の選択の幅を広げようとするものである。

この制度は、年金の65歳支給開始への暫定的な措置であるが、社会的に要請されている定年年齢の延長を促す効果があるのではないかときたいされる。

(2002.9.2M.W)