Q 公益法人が健全な公益活動を継続していく為に、内部留保の額はどの程度が適正とされるのでしょうか
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A 公益法人としての内部留保額の適正水準は、 「年間の事業に関連した支出」の合計額の30%程度以下が と定められています。
また内部留保の額の計算は「総資産額」-(「財団法人における基本財産」+「公益事業を実施するために有している基金」+「法人の運営に不可欠な固定資産」+「将来の特定の支払いに充てる引当資産等」+「将来の支出が明瞭な負債相当額」
解説
公益法人は非営利の法人であり、その事業の性質上利益の概念は存在しません。したがって法人内部に資産がどんどん溜まっていく構造にはなっていない筈です。税制上の優遇措置との関係からも過大な内部留保は好ましくなく、その場合には目的の範囲内で公益事業を拡大して社会に還元すべきでしょう。
1,内部留保額の適正水準
「指導監督基準」では、 「内部留保」については、 「年間の事業に関連した支出」つまり、一事業年度における「事業費」、「管理費」及び「当該法人が実施する事業に不可欠な固定資産取得費」の合計額の「30%程度以下」が としています。
公益法人会計には内部留保の概念自体が無いに等しいわけですので、「指導監督基準運用指針」では「内部留保」とカギカッコつきで、かつ「いわゆる」という枕詞をつけています。
「年間の事業関連支出」のなかには、借入金返済支出や特定預金繰入支出、他勘定への繰入支出等は含みません。
「原則として」とか「望ましい」という修飾語がついているのは、法人によっては基本財産からの運用財産だけで助成事業をやっているような純粋の法人もあれば、対価性のある事業に加えて、収益事業も手広くやっている法人等、一律に定めることが困難なためこのような規定の仕方をしているものと考えられます。
したがって「30%程度以下」をこえた場合には合理的な、納得を得られる説明を準備しておく必要があります。(Q&A公益法人の運営と会計・税務「渡辺俊之編著・新日本法規出版参照」)
2,内部留保の額の計算
「指導監督基準(7)」では、いわゆる「内部留保」の額は次の(イ)の総資産額から(ロ)の項目の合計額を控除した金額となるとしています。
(イ)総資産額
(ロ)次の項目等の合計額
1.財団法人における基本財産
2.公益事業を実施するために有している基金
3.法人の運営に不可欠な固定資産
4.将来の特定の支払いに充てる引当資産等
5.将来の支出が明瞭な負債相当額
以下総資産から控除する項目、すなわち内部留保とはならない項目について説明します。
なお、内部留保についての実務上のガイドラインとして、日本公認会計士協会公益法人委員会研究報告第4号(平成11年1月18日)が公表されています。(以下CPA協会・研究報告第4号という)(巻末資料参照)
(1)財団法人における基本財産
これは法人格の基礎ですので内部留保にならないのは当然です。
(2)公益事業を実施するために有している基金
事業目的が限定的で、容易に取り崩しができないものに限ります。事業安定化基金とか財政基盤強化基金のような基金は使用目的が曖昧ですので、このままでは内部留保と判定されそうです。
取崩しが容易でないということは、総会とか、理事会の承認が必要ということです。そして実際の取り崩しにあたっては、独立した議決が必要です。つまり、収支予算書で基金の取崩しの計画を承認しただけではいけないということです。
(3)法人の運営に不可欠な固定資産取得費
法人事務所・事業所、土地、設備機器、機械や備品等の実物資産の購入費用が中心になりますが、業務に必要な電話加入権のような無形固定資産も含まれます。
また不必要に広い事務所スペース、不相応な室内装飾品や美術品、遊休施設等は、法人の運営に不可欠な固定資産取得費にはあたらないため内部留保に含まれます。
(4)将来の特定の支払いに充てる引当資産等
退職給与引当預金や減価償却引当預金等のような将来の特定の支払に充てる予定のある引当資産がこれにあたります。
ただし退職給与引当金の債務を超えて引き当てられた退職給与引当預金等は控除できません。
逆に退職給与引当資産が退職給与引当金より少ない場合は、その不足部分の退職給与引当金は次の(5)で控除されることとなります。
50周年記念事業準備預金や、会館建設積立預金については、具体的な事業の計画が必要で、単にパーティーの開催というだけでは、内部留保から除くのは適切でありません。また会館の建設そのものの必要性も問われることになります。建設の必要もないのに積立てられている準備預金は内部留保になります。
(5) 将来の支出が明瞭な負債相当額
将来の支出が明瞭でも引当資産を有しているものは除きます。同様に将来の支出が明瞭でも、その負債と紐付き関係にある資産が、法人の運営に不可欠な固定資産取得費になっていれば、資産のほうで控除していますので、負債のほうから控除すると2重に控除してしまいますのでこれも内部留保から控除できません。
「指導監督基準運用指針」やCPA協会・研究報告第4号では触れていませんが、前受家賃のような将来の収益になるような負債や同様な前受金は、「将来の支出が明瞭ではない」ので内部留保に判定されることになると考えます。