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二歳男児68時間ぶり救出とロータリー精神

二歳男児68時間ぶり救出とロータリー精神

8月のお盆の頃、大分県で68時間ぶりに無事発見された2歳男児藤本理希ちゃんのニュースがありました。

こんなに嬉しい報道に接したことはいまだかってありませんでした。

そしてボランティアで捜索活動に自主的に行動した78歳の尾畠晴夫さんの生き方に深い感動を覚えました。

1、真の奉仕活動の流儀

「お爺ちゃん」と表現した方がふさわしい元気溌剌の尾畠さん曰く「 代価・物品・飲食は絶対頂かない、これが私の奉仕活動の流儀です」として謝礼やお風呂のすすめ、傘の受取をも断固拒否しました。

これをやったらボランティアとして失格ですと、はっきり答えているテレビ報道に接しこれぞ本物の奉仕活動だと感じ入ります。

彼が大切にしている言葉に「かけた情けは水に流せ、受けた恩は石に刻め」そしてさらりとした発した「人の命は地球より重い」という彼のこの言葉の意味の本当の重みに感じ入るのです。

これらの報道に対し、ネットでの反響も物凄い事になっており、「こんなシニアになりたい」「国民栄誉賞ものだ」「頑張って生きていこうと思いました。本当にありがとう」と続きます。

この元気な「お爺ちゃん」、65歳の誕生日に自営の仕事を辞めて、今迄お世話になった方達への恩返しの為に奉仕活動をするのだと言って、年金生活を続けながらこの活動を続けているそうです。

これに対しあるテレビ局のアナウンサーは、彼はこの奉仕活動によって自己実現を果たしているのですね、と感想を述べていました。

2、インスピレーションになろう

そこで今年のロータリー活動の活動方針に掲げられている「インスピレーションになろう」という言葉と重ね合わせてみます。

インスパイアつまり周りをその気にさせる、やる気を起こさせる。

世の中の人に与えたこの「お爺ちゃん」の行動こそ「インスピレーションになろう」そのものです。

そして私は会長就任時の挨拶の中で、ロータリー精神は論語の「従心」70歳の世界、すなわち「従心所欲  不矩踰」 読みやすくすると「心の欲する所に従えども、矩(のり)を踰(こ)えず」に通じるものがあると述べました。

人の道を外さない、誰も苦しめない、社会のルールに背かない、そして本当の知性を手に入れた時、自ずから自分もその周りも幸せになる。

これこそ78歳、尾畠お爺ちゃんの奉仕の世界であり自己実現の世界だと思うのです。

彼はマズローの欲求五段階説の最終段階である自己実現欲求をも満たした人生を歩んでます。

しかしその前段階の、経済的欲求を前提とした社会的欲求(帰属欲求) 、尊厳欲求(承認)を満たしているとも思えません。

つまりマズローの段階説が間違っているのではなく、それを超えたところに彼はいるのかもしれません。

発表はしてないもののマズローは第6段階を考えていたのだそうです。

それは自己超越(コミュニティの発展)だとか。

この元気で溌剌として、とても78歳には見えない「お爺ちゃん」、ひょっとしたら既にその世界に入っているのかもしれません。

3、結び

いずれにせよこの尾畠お爺ちゃんの行動を見て、今年のロータリーの活動方針と重ねあわせざるを得ませんでした。

従心の世界と自己実現欲求の多様性はあるものの、RI会長をヒエラルキーの頂点とする組織であるロータリーバッチによる承認欲求が見え隠れする奉仕活動を今一度原点から見直すキッカケになればと思うものの、私にはとても尾畠お爺ちゃんの域に達するには、人生百年では足りないことを悟りました。