新着情報

NEWS

竹中平蔵氏 講演(その4)

経済が悪い時の火事場泥棒的増税は止めるべき

第2番目に何よりも今経済が悪いです。経済は悪い時に増税をするというのはあり得ない、政策でしょう。それを考えても とってつけたように、こういうのが出てくるのは、私は本当にどさくさ増税。火事場泥棒的増税であると。国民の東北の人の心理につけこんだ、そういう復興税はやめた方がいい。
この間もテレビでそういう事をいったら、いやいや、そうは言っても日本は財政が厳しいし、これから社会福祉は増えるし、それは復興税というなら、それならば子供手当税といえと福祉税という風に言えと。その上で議論するなら、わかる。しかし、今までそういう事を議論しないで、こういう状況になって、今のような議論するのは、私は非常に不健全だと思います。すみません力が入ってしまって、、。

その上で、具体的にどのような形で、復興をを進めていったらいいのか。復旧と復興とを改革を一体化していく。そのためのプランを出していくという事なんですが、私は、今の復興会議、復興構想会議のというものの存在は、大変不思議なものに思えます。
先週の土曜日もあるテレビ番組に出まして、向こうのスタジオに五百旗頭議長がいらっしゃいました。五百旗頭さんという方は、政治史外交史の分野では大変業績のある立派な学者さんでいらっしゃって、阪神淡路の時もご自身、被災者であって、大変思いいれで、非常に真面目にこの議論をしようとしておられると思うんですけれども、私は五百旗頭さんは大変気の毒だと思います。復興構想会議の答申が出るまで、政府は何もしない。それを答申は待っている。復興構想会議を隠れ蓑として、今、行政と与党の政治がそれに隠れて、何か議論すると必ず五百旗頭さんをテレビに出して、苦しい答弁させている。世の中の現状です。

まず、復興構想会議ついて思い出されるのは、やはり先ほどの後藤新平の話です。後藤新平は、たとえば今の東京の骨格を作ったのは、間違いなくこの人です。この関東大震災の後の、復興の構想の中でそれを描いたわけです。彼は大風呂敷と呼ばれました。大風呂敷と呼ばれて、物書きにものすごく批判された。彼は最初に言ったのは、東京のちゃんとした復興のためには、土地の私有権を制限して、省庁を大きく集約するような事をやって、せめて当時のお金40億円。今のお金ですれが数十兆円。40億円のお金がいるという風に言われた。それが叩かれて叩かれて土地の私有権を主張する減資(?)などの政治的抵抗を受けて、40億円の構想が最後には4億円になるのです。10分の1になるのです。だから、大風呂敷と言われたのです。
しかし、その大風呂敷のお陰で、今の昭和通り等の骨格が残ってると言う事です。私が大変残念なのは、五百旗頭さんは1番最初にこれだけのお金がいるというかわりに1番最初に国民の負担がいると言った事です。逆です。財源の確保をどうするかなどというのは、財務大臣にやらせればいいのです。

私達は、これだけの物をつくるのに、これだけの構想のもとでこれだけのお金がいる。歳出の金額の議論をするのが、構想会議の本来の役割だと思う。その上で、財政の制約を受けて、実際の政治的プロセスで決まる。構想会議というのは、1諮問機関ですから、そこでの議論というのはやはり、先ほどの座標軸からいうと、どういうのが理想的であるべきかを議論すべきです。
実はこのような状況下では構想を高々に掲げるという事は、政策的に意味があります。
なぜならば、経済学的に言うところのサンクコストが0になる状況が今、出現しているからです。サンクコストを0にすると言うのは、たとえばこの町をエコタウンにしようと言う風に(  )ように、 白地のキャンパスに理想的な絵を描いたとします。それを実現するのは、難しい。なぜならば、そこにはもう家が建っているからです。この白地のキャンパスに描いた物を実現しようと思ったら、この家を全部廃棄しなければいけない。会計的に言うと、除却損が出る。除却損を出さなければいけない。これがサンクコストです。しかし、幸か不幸か、今度はもう全部ないのです。
つまり、サンクコストが0であるという、白地のキャンパスに絵が描けるという状況が今出現している。だから、構想会議が必要なんです。でなければ、構想会議は、やっぱりあまり意味ががないのです。構想会議は今、白地のキャンパスに絵を描けるのだという事を前提にして思いきって出来事をやっておかないと。

当然そのためには何が必要でしょうか。先ほどから何度も言っています。農地を思いきって、集約して、競争力のある農業にするのです。そのためには農地法の適用除外にするような土地を作る、農地法の適用除外にする。これが最大のポイントだと思います。農業に関しては。
そして、さらには漁業に関しては、この地域にちなみに被災を受けた地域は、日本の漁業の10%の水揚げをあげていますので、漁業ウエイトはものすごいに高い。これに関しては非常にダメイジを受けていますから、この為の設備投資の為の基金を作るというのは、当然のことながらやらなければいけないでしょう。
実はこの基金というのは、本当だったら、私有財産に対して、助成を政府はやっぱりなかなか出来ない。阪神淡路の時も家がなくなったからといって、地震でなくなったからと言って、国はポンと家やお金は出してあげますってやっぱり出来ないです。
そうでないと、今まで別な理由で家をなくした方に対して、極端な不公平が出るではありませんか。そこで考えられるのは、ギリギリのスキームが基金です。お金を出し合って、その基金から融資とかを行えるようにしよう。これが政治的な決断で、阪神淡路の時もって、作られました。

実はこれを見習う形で、例のアメリカの9・11の時も同時多発テロの時も被害者を救済する基金をアメリカで作ってます。ただし、アメリカは例のハリケーンのカトリーナの時はこの基金を作りませんでした。基金を作るかどうかは極めて政治的な判断なんです。今回は基金は必要でしょう。さらにはエコタウンを作る。エコタウンを作る為には、たとえば高台にエコタウンを作ると言う事であるならば、何が必要でしょうか。
高台に住んでいる人がいるんです。高台に住んでいる人は低い所は危ないからと思って高いお金を出して、高台に土地を買って家を建てているんです。この人達の生活をどうするんでしょうか。その為にはやはり一種の新しい、区画整備の手法のような私有権を制限するようなまさに、後藤新平が言ったような事をやらなけばいけないしょう。その為に基金が必要でしょう。

つまり、相当、今までの効率の枠組みを超えた事をやってくれる事を認めるトップのようなものを作らなければいけない。私は最大もう1つ期待するのは、市町村の集約です。
それぞれ今度、陸前高田とかいろんな名前が出てきましたけれども、徹底的な打撃を受けています。これを思いきって、市町村の合併をして、そして、本当の意味での分権に耐える、基礎自治体を作る。あえて言えば、私はここまで踏み込んで欲しいと思うのは、大きなプランとそしてお金を用意するのが、中央政府の仕事であり、そして、大きな絵に沿って具体的にどこをどう言う風にしていくかというプランはすべて、そこの自治ないし、さらに言えば、道州に任せる。私は、東北でいわゆる道州制のトップを作ってやるというのが、本当の意味では1番理想に近い形なのではないかと思います。

あるテレビ番組で宮城の村井知事に申し上げたんですけれども、私は知事としては国にあれやってくれこれやってくれと言う事をおやりになった方がいいと思う。
マスタープランとそしてお金だけを用意してくれ、後は私達にやらせてくれと言う風にいうのが、そういう声を知事が備えるべきなのではないですか。
しかし、そうはならないわけです。国にあれやってこれやってくれ、これは自治体の見識もないと問われると思います。国にあれやってくれこれやってくれではなくて、金だけは用意してくれと、後は自分がやる。このようにやると言うのは、分権の本来のあるべき姿ではないかと思います。