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「総報酬制導入後の社会保険料負担」

いよいよ平成15年4月より、社会保険料算定方式が総報酬制へと変更されます。
現在健康保険や厚生年金の保険料は毎月の給料(標準報酬月額)に保険料率を乗じて計算されていますが、年3回以下の賞与からは低率(1%)の特別保険料が徴収されています。

そのため同じ年収でも賞与比率が高いほど保険料負担が軽いという不公平を是正するために保険料を年収で計算する総報酬制の導入が求められていました。
既に厚生年金については平成15年4月の導入が決定されており健康保険も同時期の施行を目指して改正案が本通常国会で審議されています。

現在の保険料は、厚生年金が月収の17.35%(労使折半)、政府管掌健康保険は同8.5%(同)で、ボーナスから支払うのは各1%です。
これが、来年度からは、厚生年金は月収とボーナスの合計の13.58%、政管健保は同じく8.2%になります。いずれも労使で折半します。
ボーナスから支払う保険料のうち、会社側などの負担を除いた本人負担は、現在は厚生年金が0.5%、政管健保が0.3%の計0.8%ですが、来年度からは少なくとも10.89%にはね上がります。

具体的な保険料の負担額は、ボーナス支給額の1000円未満を切り捨てた額にそれぞれの料率を掛けると計算できます。
例えば夏のボーナスとして50万円支給されたケースで計算してみます。
今年は、天引きされる年金と医療の保険料は4000円ですが、来年は5万4450円になります。
半分を支払う企業側も、5000円の負担が5万4450円に増えることになります。

このほかに、40歳以上65歳未満の人には、介護保険料のボーナス徴収も来年度から新たに加わります。政管健保加入者の介護保険料は、現在は月収の1.07%(労使折半)で、ボーナス徴収はありません。
現役世代の介護保険料は毎年改定される仕組みなので、来年度の料率はまだ決まっていません。
総報酬制の導入で、来年度からは医療、年金などの保険料の月給天引き分は減りますが、ボーナス天引き分は増えます。
従って、年収に占めるボーナスの割合が多い人は、その手取り額が大きく減る可能性があるので注意が必要です。特に、厚生年金については、ボーナスの支給額が年間3.6か月を超える人は、これまでより年間の保険料が高くなります。
業績の良かった企業の従業員の中には、200万、300万円とボーナスをもらう人もいるでしょう。
現在の保険料1%は、支払われたボーナス総額を対象に計算しますが、来年度以降は、厚生年金が150万円、医療保険は200万円が上限になります。厚生年金なら10万1850円、政管健保は8万2000円が、1回のボーナス当たりの保険料(自己負担分)の最高額となります。

賞与からの住宅ローンの返済がある人については、賞与の手取額が減少します。
手取りの減少について、何らかの対応策が必要でしょう。

(2002.11.5 A.Y)