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経営学的労働問題と欲求段階説

心理学者マズローの、欲求段階説によれば、人間の欲求は①生理的欲求②安全の欲求③社会的欲求④尊厳の欲求⑤自己実現の欲求に分類されるという。
これは、一段階目の欲求が満たされると、一段階上の欲求を志すというものである。

ところで、6月1日頃ニュースで、過労死が過去最多という衝撃的なニュースがあった。
国内景気が回復といわれるものの、これは不景気時代の大リストラの結果、低賃金の労働者に過酷な労働を負わせたことによる「つけ」がまわって来たのであろう。
反面、その一週間後には、左遷された(役所)職員がその左遷は不当であるという主張が認められたニュースもあった。ほとんど、仕事は電話番のみだったということである。

この2つの事例から言えることは、5段階説の両極に近い部分でのジレンマは極めて不幸な、生産性が乏しい結果を生むということである。
即ち、過労死については、彼らは生理的欲求安全欲求が満たされずに、自殺へと追いやられたのであろう。
左遷については、自己実現の欲求が満たされずに、訴えを起こすものとなったのであろう。

このように考えると、人間は尊厳の欲求・社会的欲求で、ゆらいでいる状態がもっとも人間として、幸福であり、かつ生産性も高いものとなると思われる。

人間という経営資源を、物的経営資源と捉え、短期的なその場しのぎの選択判断をしているようでは、瞬間的に景気が良くなっても、中長期的にはどうであろうか。
心配なところである。

東京本部 笠田朋宏